広島発の「ぎんのすず」とは | 被爆の惨禍から1年後の昭和21年8月6日、文化や娯楽を求めるこどもたちのために、児童雑誌「ぎんのすず」は 広島で誕生しました。終戦直後の、読みたい本にも不自由するような物不足の時代にあって、一躍こどもたちの人気を集め、一時は全国的な広がりも見せました が、中央の出版状況が回復するとともに、衰退してしまいました。 平成10年になり、昭和21年から昭和28年頃発行の正に最盛期の「ぎんのすず」が、まとめて広島市立中央図書館に寄贈されました。 |
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「ぎんのすず」表紙原画について | 「ぎんのすず」は、その充実した執筆陣でも定評がありますが、表紙画、挿画などの絵も、本格的な画家たちが手がけています。当館では、表紙の原画、52点も所蔵しています。ここでは、それらの中から、清水良雄の作品をご紹介します。 |
画家 清水良雄 (1891-1954)について |
「ぎんのすず」の初期の表紙を飾った清水良雄は、文展、帝展でも活躍した洋画家ですが、鈴木三重吉主宰の『赤い 鳥』の表紙を飾った童画家、挿画家としても著名です。1918年7月の創刊号から1926年10月の鈴木三重吉追悼号まで一貫して主任画家の役を果たしま した。後年、広島に疎開したことが縁となり、「ぎんのすず」の表紙画も描いています。 |
教育雑誌「ぎんのすず」昭和23年6月号 (6学年)表紙原画
(タイトル不詳) 清水良雄 画 油彩/キャンバス 33×46 cm
教育雑誌「ぎんのすず」昭和23年9月号 (6学年)表紙原画
(タイトル不詳) 清水良雄 画 油彩/キャンバス 33×46 cm
教育雑誌「ぎんのすず」昭和23年11月号 (6学年)表紙原画
(タイトル不詳) 清水良雄 画 油彩/キャンバス 33×46 cm
教育雑誌「ぎんのすず」昭和24年1月号 (6学年)表紙原画
「たこ上げ」 清水良雄 画 油彩/キャンバス 33×46 cm
教育雑誌「ぎんのすず」昭和24年7月号 (6学年)表紙原画
「魚つり」 清水良雄 画 油彩/キャンバス 30×50 cm
同誌p17に、次のとおり作者による「表紙絵解説」あり。
「七月ともなれば、何はともあれ水にあこがれます。中でも魚とりは誰でも夢中になるものです。ここにいる二人は兄弟でしょうがめったに口をきかず、うきを見つめています。なんとかわいらしい真剣さでしょう。(清水良雄)」
教育雑誌「ぎんのすず」昭和24年8月号 (6学年) 表紙原画
「海水浴」 清水良雄 画 油彩/キャンバス 30×50 cm
同誌p13に、次のとおり作者による「表紙絵の見かた」あり。
「八月の海は青々と照り輝いています。波がないので体も浮袋もきれいに海にうつっています。実際は二人のほかに多くの人が泳いでいるのですが、ここには出来るだけあっさりした図取りにして、美しい表紙絵の感じを出したのです。」
「ぎんのすず」の表紙
実際に表紙を飾った原画たち
「ぎんのすず」6年生の、昭和23年9月号、23年11月号、24年7月号、24年8月号