公開日:2010年02月10日
「人生は山あり、谷あり」と言います。
私達は日常生活の様々な場面で山や谷に遭遇し、一喜一憂をしながら過ごしています。大企業の経営不振が叫ばれたり、100年に1度の大不況と言われる現在は、多くの人にとって「谷」であるかもしれません。
その「谷」をうまく乗り切り、「山」の頂きに到達するにはどうすればよいのでしょうか。
この作品の著者は、10年程前のベストセラー『チーズはどこへ消えた?』を書いた人物です。幸せの象徴でもあるチーズを、迷路の中で探し求めるねずみ2匹と小人2人の話は、当時とても話題となりました。
今回のこの話もチーズと同様に、くらしやビジネスでの成功を「山」に見立て、そこに辿り着く方策を説いています。ただ、現在の先行きが不透明な時代に合わせ、主人公の若者が苦境をどのように捉え、乗り越えていくかに焦点が当てられています。
100ページちょっとの物語。あなたの「山」への道のりのヒントが得られれば幸いです。
公開日:2010年01月10日
本書は、過疎化と高齢化が進む徳島県の上勝町で、著者が「葉っぱビジネス」によって地域おこしをし、「葉っぱビジネスの仕掛人」「地域おこしのカリスマ」と呼ばれるようになった軌跡を書いた自伝的な物語です。
ちなみに、「葉っぱビジネス」とは、日本料理を彩る季節の葉や花、山菜などを青果市場に出荷できるように農家が栽培・販売する農業ビジネスのひとつで、上勝の葉っぱや花を「つまもの」として商品化し、「彩(いろどり)」という名前をつけて、農家のおばあちゃんたちと一緒に開発していった道のりが書かれています。
著者が農協の職員として、上勝町へやってきたのは、二十歳のとき。過疎化・高齢化が進む見ず知らずの田舎町、上勝町に来た当初、町の人たちの男衆は朝っぱらから酒を呑み、女の人は、嫁や誰かの悪口をずっと朝から晩まで話している光景を目にし、「とんでもない町にきたなあ」とショックを受けます。「これはなんとかせなあかん」と農家が集まる機会に話をしても、よそ者扱いされ、「帰れ!」と猛反発を喰らいます。
それでも著者は、引き下がらず、その後の異常寒波によるミカン全滅の危機に直面したときも、季節物の野菜栽培などを提案していき、農家の人たちと一緒に厳しい状況を乗り越えていきます。
あるとき、たまたま入った「がんこ寿司」で女子大生が料理に添えてあるつまものの赤いもみじを見て「かわいー」「持って帰ろう」という光景を目にし、「そうだ!葉っぱを売ろう!」と思いつきます。「そんなもん、売れるわけないよ」と冷ややかな目で見られながらも、料亭に通いつめ、つまものの研究を重ねるなどさまざまな努力を重ね、最終的には「株式会社 いろどり」を立ち上げることになります。おそるおそるパソコンを使うようになり、いきいきと仕事をしていくようになるおばあちゃんたち。
―全国の農村の心の空洞化をはね返すには、地域に対する誇りしかない―
と著者は語ります。著者の感じた成功のヒミツもたっぷりと書かれており、また、成長していく町の人たちの様子を読むと元気をもらえ、感動できる1冊です。
公開日:2009年11月26日
「ジャガイモの教訓」「恐竜の絶滅」「もったいない」「ハプスブルク家の婚姻政策」「カラーテレビ」「島田紳助」無秩序に挙げられたキーワードに思えますが、これらは経営や現在の経済状況を考える上での「補助線」となります。
筆者によると、ビジネス上の問題や疑問点とは無関係と思われる補助線に目を向ければ、思いがけず難問を解決する糸口を発見できるそうです。
例えば、19世紀のアイルランドで起きたジャガイモの疫病による大飢饉で得た、「ジャガイモの教訓」について考えるとき、食料の大半をジャガイモに依存していた単作のリスクは、成功しているビジネスモデルへの過度な集中が、時には経営上の危機をもたらすリスクを思い起こさせます。
上に挙げたキーワードがどんな経営思考の補助線となっているのか気になりませんか?
身近にある話題からヒントを得て、変化の時代を生き抜く経営を紐解いていく発想の転換に、思わず「そうだったのか!」と頷けるビジネスエッセイです。