広島市立図書館資料収集方針(以下「資料収集方針」という。)は広島市立中央図書館の資料収集要綱及び資料収集選択基準並びに広島市こども図書館の資料収集要綱及び資料収集選択基準でもって構成する。
市民の生涯にわたる教養、調査研究、レクリエーション等に役立つ資料や情報を収集し、提供することは、公立図書館の基本的な役割である。
そのため広島市立図書館(中央図書館(自動車図書館を含む。)、区図書館、まんが図書館、閲覧室及びこども図書館)においては、この基本的役割を踏まえ、資料費の範囲内において、市民各層の幅広い資料要求にこたえるとともに、国際平和文化都市の図書館として、地域文化の継承・発展に寄与し、また原子爆弾による被爆体験の継承と平和意識の高揚を図り、そしてまた国際理解を深めるための資料収集に努める。
さらに、この資料収集方針は広く市民に公開し、収集内容を明らかにするとともに、市民の要求や意見を真摯に受けとめ、多様な議論を経て必要に応じ改訂を行う。
この要綱は、広島市立中央図書館条例第1条に基づき設置した広島市立中央図書館(以下「中央図書館」という。)並びに同条例第3条に基づき設置した広島市立中区図書館、広島市立東区図書館、広島市立南区図書館、広島市立西区図書館、広島市立安佐南区図書館、広島市立安佐北区図書館、広島市立安芸区図書館、広島市立佐伯区図書館及び広島市立佐伯区図書館湯来河野閲覧室(以下、総称して「区図書館」という。)並びに広島市まんが図書館(以下「まんが図書館」という。)及び広島市まんが図書館あさ閲覧室(以下「あさ閲覧室」という。)(以下、総称して「中央図書館等」という。)における、広島市立中央図書館条例施行規則第2条に基づく資料の収集について、必要な事項を定めるものとする。
資料の選択は、2の「資料収集の基本方針」、3の「各館等の役割と資料収集の範囲」を受け、別に定める選択基準に基づき行うこととする。
なお、利用頻度の高い資料は、資料費や蔵書構成等を勘案しながら、複数の収集も考慮する。
中央図書館等は、利用者が自ら考え、判断することができるよう、次の点に留意しながら、あらゆる思想や主張が共存するような幅広い資料の収集に努める。
以上によって収集した資料が、どのような思想や主張を持っていても、それを図書館及び図書館員が支持しているものではない。
中央図書館等は常に適切な資料構成を維持し充実させるため、資料の更新を図る。また、資料の除籍にあたっては、「除籍の基準」とこれに基づき別途定める細則により判断する。
この選択基準は、「広島市立中央図書館資料収集要綱」の5に基づき、資料収集にあたっての資料選択の具体的基準を定めるものである。
選択の留意点の記述のうち、各文末における文言の重要度は、次の順とする。
また、文中の「学術書…」とは、一般的に学者・研究者を対象として出版された資料、又は図書を指す。
市民の教養、調査研究、レクリエーション、日常生活等に役立てるため、基礎的、入門的な図書から、必要に応じてある程度専門的な図書まで、各分野にわたり幅広く収集する。
こども図書館との機能分担を図って、資料を収集する。
各分野ごとの留意点を、「日本十進分類法新訂10版」の主題別に記す。
総記には、[1 哲学]から[9 文学]までの各主題のいずれにも属さないものが収められており、コンピュータ、図書館、出版、ジャーナリズム等の情報関係が主になっている。
※ 以下、特に重点を置く主題を記す。
哲学に関しては、評価の定まった主要な思想家のものを中心に収集する。評価の未だ定まらない現代思想家のものも、内容等に留意しながら収集する。
宗教に関しても、同様である。新興宗教や超常現象・迷信等に関することは、その内容等に留意しながら収集する。
※ 以下、特に重点を置く主題を記す。
様々な歴史観があるため、多様な見解のものを幅広く収集する。
日本史、郷土史等を中心に、入門書や一般向けの歴史の読み物から、専門書、研究書、各史料類まで、幅広く収集する。
通史、時代史、各国史、地域史等、幅広く体系的に収集する。
※ 以下、特に重点を置く主題を記す。
社会生活上に起こる諸問題をまとめた分野であり、時事的テーマに留意し入門書から専門書まで、網羅的に収集する。また、様々な思想、立場が存在するので、多様な観点に立つ資料を幅広く収集する。
※ 以下、特に重点を置く主題を記す。
情報の更新が早い分野であるため、最新の情報に留意する。一方、出版年の新旧にかかわらず基本となる概説書にも留意する。
入門書から専門書まで、多様な観点に立つ資料を幅広く収集する。
※ 以下、特に重点を置く主題を記す。
変化が著しい分野であるため、最新の情報を提供できるように留意する。一方、出版年の新旧にかかわらず基本となる概説書にも留意する。
入門書から専門書まで、体系的に収集する。
科学技術の最新の動向についてわかりやすく書かれた資料は重点的に収集する。
※ 以下、特に重点を置く主題を記す。
各産業の概略を理解するのに役立つ、入門書から専門書、実用書を収集する。
また、様々な産業の実務に役立つ資料は、幅広く収集し、最新の動向に留意する。
※ 以下、特に重点を置く主題を記す。
多様な趣味、娯楽、教養に役立つ資料を、鑑賞・研究と制作・実技等との両面にわたり、入門書から専門書まで幅広く収集する。
また、美術全集、画集、写真集等は、高額なものについても、内容等を考慮して収集する。
スポーツについては、各種目について入門書から専門書まで、幅広く収集する。一方で、新しい競技についても迅速に提供できるように留意する。
※ 以下、特に重点を置く主題を記す。
世界各地の言語(日本語を含む)の歴史、文法等に関する資料を、入門書から専門書まで、幅広く収集する。辞典は多種多様なものを収集する。
※ 以下、特に重点を置く主題を記す。
日本の現代小説類を中心に、全集、文庫等も含めて網羅的に収集する。
主要な文学賞受賞作品は、幅広く収集する。
基本図書となる全集類は、重点的に収集する。
作品論や作家研究等は、専門書も収集する。
※ 以下、特に重点を置く主題を記す。
子どもの教養・レクリエーションに役立つものを中心に多様な資料を収集する。
乳幼児から児童・生徒まで、発達段階に応じたものを収集する。
こども図書館資料収集選択基準に準じて、子どもの健やかな成長に役立つ資料及び子どもの読書活動を啓発・支援するための資料を収集する。
青少年(おおむね中学生・高校生の世代)の興味・関心が高い資料を中心に幅広く収集する。
青少年を主要な対象とする資料を中心に、一般図書、児童図書の区別なく収集する。また、漫画資料についても必要に応じて収集する。
市の中央館として、市民の高度な学習や調査研究に応じるとともに、区図書館での調査研究を支援するため、それに応じることのできる幅広い参考資料の収集を行う。
※ 以下、各分野ごとの留意点を記す。
多種多様な調べ物に対する、総合的な参考図書がこの分野であり、重点的に収集する。
哲学事典、心理学事典、名言事典、人物事典等、各種収集する。
宗教に関しては、各宗派の事典を収集する。
各分野において体系的に収集する。
白書、統計、報告書等を網羅的に収集する。
事典、図鑑類は多様なものを収集する。
また、医学・薬学の分野では情報の更新が早いため最新の情報にも留意する。
変化の著しいこの分野に関しては、最新の情報に留意し、事典、ハンドブック等、多様なものを収集する。
様々な産業の動向に留意し、事典、ハンドブック等、多様なものを収集する。
美術、音楽に関しては、時代、国・地域を問わず網羅的に収集する。
また、スポーツに関しては各競技のルール等は最新のものに留意し、主要な競技会のデータも収集する。
日本語を中心に、各種言語について、辞典、ハンドブック等、多様なものを収集する。
日本を中心に、その他の国や地域の文学について、文学史、主要な作家研究等に留意し収集する。
主要な文学者については、その個人の情報が網羅されている個人事典等も収集する。
地域文化の継承と発展に役立つことは、中央図書館の重要な役割である。そこで、市の歴史・地理・経済・行政・文化等に関する多様な資料を積極的に、網羅的に収集する。
また、市政について市民が知り、学ぶことを支援するため、市が発行した資料は積極的に、網羅的に収集する。
※(キ)・(ク)・(ケ)の資料については、広島市に関する記事や、広島市を理解するうえで必要な情報が掲載されている資料を収集する。
※ なお、近世以前の古文書及び明治以後の文書類は、原則として収集しない。
広島市は、世界最初の原爆被爆都市として、被爆体験の継承と核兵器の廃絶、世界の恒久平和の実現を訴え続けている。
このため、被爆による人的・物的被害を記述したあらゆる資料並びに関連する多様な資料及び平和に関する資料を積極的に、網羅的に収集する。
広島資料のうち、広島市の出身者、在住者及びゆかりのある人物の文学資料等を、広島文学資料として積極的にかつ網羅的に収集する。
広島文学資料として収集する資料のうち、特に文学的業績が著しい21名については、その人物の文学的資料(詩、小説、物語、評論随筆、紀行、手記、ルポルタージュ、エッセイ等)とその人物の伝記的資料や創作活動関連資料等も含めて網羅的に収集する。
鈴木三重吉 | 田中 純 | 細田民樹 | 若杉 慧 | 大田洋子 | 原 民喜 | 阿川弘之 |
桂 芳久 | 竹西寛子 | 梶山季之 | 大庭みな子 | 岡山 巌 | 正田篠枝 | 近藤芳美 |
大木惇夫 | 峠 三吉 | 栗原貞子 | 黒田三郎 | 小山内 薫 | 畑 耕一 | 新藤兼人 |
広島文学資料収集対象以外の人物の文学資料や伝記的資料については、広島資料の文学関係資料として収集する。
広島文学資料として収集している、鈴木三重吉ほか20名に関する資料を保存・活用していくため、昭和62年(1987年)10月、中央図書館内に「広島文学資料室」を設置している。
広島市立図書館は、心身の障害等の理由により図書館の利用が困難な市民が、図書館サービスを利用できるよう障害者サービスを実施している。図書館の利用に障害のある市民の利用環境を整備していくために、一般図書、児童図書の他にも様々な障害の特性に配慮した利用しやすい資料を収集する。
障害者サービスを実施するために、次の資料形態のものを収集する。
「国際平和文化都市」を目指す広島市の図書館として、市民が諸外国の社会や文化を理解すると同時に、外国人が日本を理解するための手助けとなる日本語以外の言語で書かれた資料を幅広く収集する。
英語、中国語及び朝鮮語[韓国語]の図書並びに逐次刊行物を重点的に収集する。その他の言語の図書及び逐次刊行物にも留意する。
一般図書に比べ、内容の速報性という点で、雑誌・新聞は重要な資料であり、市民の趣味、娯楽、教養及び調査研究に役立つ資料として、各分野の代表的雑誌及び主要な新聞を体系的に収集する。
自動車図書館は、市民に対する直接サービスとしての移動図書館車(「ともはと号」)業務と、間接サービスとしての公民館図書室や地域文庫等の配本所への配本業務を行っている。
このため、それぞれの場において、利用者のニーズに合った適切な資料を積極的に収集する。
乳幼児から高齢者までを対象とした資料を収集する。
特に、大活字本については、積極的に収集する。
ただし、配本に適さない文庫本、複合媒体付資料、逐次刊行物は、収集しない。
区図書館は、市民の身近な図書館として、市民が日常生活において必要とし、教養・レクリエーションに役立つものを中心に多様な資料を提供する。その他の専門的な資料については、中央図書館、こども図書館及びまんが図書館の支援を得る。
乳幼児から高齢者までを対象とした資料を収集する。
中央図書館の一般図書に準じるが、地域の共通の関心事や社会的に話題となっている事項に関する資料は重点的に収集する。
ア 一般図書
市民の豊かな感性や創造性の醸成に役立てるとともに、漫画文化の発展に寄与するために、資料的価値の高い漫画資料等を積極的に収集する。
世界の平和と安全の維持等を目指す国際連合(国連)は、世界の人々が国連の働きを理解することができるよう、その活動状況を資料にまとめ、世界各地に設けている国連寄託図書館で公開し、閲覧等に供している。
広島市は、昭和62年(1987年)に国連の寄託指定を受け、中央図書館内に「広島市国連寄託図書館」を開設した。
都市像に「国際平和文化都市」を掲げる本市は、世界の平和と安全維持等を目指す国連の指定を受け、国連の活動を紹介し、国連への理解を深めるため、次の資料を寄託され、公開している。
この要綱は、広島市こども図書館条例(以下「条例」という。)第1条の規定に基づき設置した広島市こども図書館(以下「こども図書館」という。)の資料(条例第3条第1項に規定する「図書その他の教育参考資料」及び同条第2項に規定する「児童文化に関する資料その他参考資料」をいう。以下同じ。)の収集について、必要な事項を定めるものとする。
こども図書館は、広島市の子供のための専門図書館として、子供が本に親しみ、読書を楽しむことを通して、想像力及び創造力を養い、もってより豊かな人間性を育み、健やかな成長に資するための資料を収集する役割を有している。また、広島市立図書館の児童サービスの中心館として、児童文化関係の調査研究のための資料を収集する、並びに収集した資料を最終的に保存する役割も有している。
このため、こども図書館の資料は、広島市立図書館資料収集方針の基本的な考え方及びこども図書館の役割を踏まえて、児童図書、参考図書、児童文化関係資料、郷土資料、原爆資料、雑誌・新聞及び外国語資料を収集する。特に、国内で出版される児童図書は網羅的に収集するとともに、参考図書、郷土資料、原爆資料については、一般図書も収集する。また、児童文化関係資料は、一般図書を中心に収集する。
保存については、資料的価値の高いものを保存する。
こども図書館職員の合議により資料の選択を行い、こども図書館長が決定する。
資料の選択は、2の「資料収集の基本方針」、3の「こども図書館の役割と資料収集の範囲等」を受け、別に定める「広島市こども図書館資料収集選択基準」に基づき行う。
歴史的価値がある資料や品切れ・絶版により入手が困難な資料など資料的価値が高いものについては、最低1冊は保存する。
この基準は、広島市こども図書館資料収集要綱の7に基づき、資料の選択について必要な事項を定めるものとする。
※ 以下、各分野の留意点を、「日本十進分類法新訂10版」の主題別に記す。